クライアントに喜ばれる
設計者は大金を預かってそれを使う。しかも、一定の予算の範囲で、一番良いものをつくるという責任を負っている。

 設計の打ち合せにいって、クライアントが以前に住んでいたり使っていたりした別の建物が話題になるときがある。しかしたとえそれが住みづらそうで、その割に高いお金で建てたものらしいと分かっても、その家の感想を聞かれれば「よくできているのではないですか。」と言う返事になる。

 人の一生のなかで、家を建てるというのは、一度あるかないかのことだ。建てるために、クライアントは大変な思いをしている。良い所を見つけて、こういう所が良くできていますよ、と言ってあげたいと思う。そういう心構えが大事ではないだろうか。クライアントは、全部を自分で背負って毎日生活しているのだから。

 クライアントの期待に応え、クライアントに喜ばれるものをつくる一これが設計者の出発点であり、大切な心構えであると思う。


Copyright© 2003 PAO mailto:pao-pao@lily.ocn.ne.jp