設計の仕事は、まず土地を見に行くことから始まる。行ってまずそこに立つ。
土地も見ず、そこにプレハブ住宅を置くのなら、設計者は要らないことになってしまう。土地を見るということは、まず土地そのものの性質を知ること、土地の癖のようなものをつかむ事だ。不陸があるとか傾斜があるとかの土地の基本的な性状をまず知る。また、過去がどうであったかということも重要なことで、歴史地図なども参考に調べてみることもある。もとが池だったり、田圃だったりということが分かってきたりする。
それからその土地の周囲がどうか、まわりに何があるか、どんな施設があるか、などを見ていくことも必要だ。その土地が将来どんなふうに変わっていくかという見通しも、そこからしっかり掴んでおく。
さらに今度は土地を外から眺めてみる。あそこの家の3階からはどう見えるのか、あのマンションから、またあの丘の上からはどうかなど、実際にそこに立って眺める。そして、それならこういう屋根が、こういう外観が気持ちの良いものになり、街全体の雰囲気としてもよくなるだろう、と考えを進めていく。それを眺めて気分がいいというのは、とりもなおさず良い設計だということなのだから。