クライアントとの対話
もちろん一口にクライアントといっても、いろいろなタイプの人がいる。だから一律にこう付き合うべきだということは言えないし、打合せに決まった形や順序があるわけでもない。

 私の場合は、クライアントとの打合せで一回目は白紙の状態で出かけることが多い。もちろん、どんな家にお住まいなのか、法規はどうなっているかなど、ある程度の下調べはしていくがそれ以上は白紙で望む。そして、クライアントの生活ぶりを拝見させて頂く。お手持ちの家具、インテリアのお好み、生活の仕方等。物の置き方一つがヒントになることも多い。

 意外な事だが、クライアントには、住いに関して自分で何が好きなのかを具体的に掴んでいない人も多い。一般の人は日々の生活が忙しく、何が自分の生活のスタイルなのかを、振返る機会が無いこともあるだろう。家を建てる段になって、初めて思いを巡らすことになる。それは不思議な事とは言えないと思う。

 だからまず、色々なお話をお聞きし、また観察させて頂く。その中から、「こういう暮らし方がお'望みではないですか」、と問いかけて見ると、自然とこちらに顔を向けて頂けるようになる。相手の話していることをお伺いし、「それならこういうやり方があります。」、又、「こうすれば解決できるのではないですか?」、と形にして丁寧に返してさしあげる。これは、仕事を完成させるまでずっと続く作業でもある。


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